いきあたりばっ撮り

カメラを抱いた渡り鳥

ヤマセミ 1枚のハンカチ

いくら近いからといって、こちらの動きを覚られては何にもならない。

濁った川の中の魚でも捉えるヤマセミなら5メートル先のレンズなんぞいっぺんでお見通しだろう。
ネットをもってこいといわれて大きな方だけをもっていったものだから突き出したレンズを隠すのには役に立たなかった。
H師はポケットから迷彩のハンカチを取り出してフードに巻いてくれた。
おそらくこれがなかったらこちらの中の動きまで察知されてこのような収穫はなかっただろう。
水際すれすれの基地だから三脚の固定も用意したガムテープでまわりの竹や囲いの棒に固定してくれた。

すべてお膳立ては整えられて、わたしはシャッターを押すだけであとは運を天に任せればよかった。

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