世の中には造花の妙としかいいようのない生物がいる。
テングビワハゴロモもその一つだ。
その名は虫好きの娘たちの話ぶりから自ずと教えられた。
虫屋にも憧れなのだ。
今度のタイ旅行も、娘たちの虫撮りツアーに便乗しただけのことだった。
そして出国前の休養日に、わたしにもテングビワハゴロモに会わせてくれというと、今はシーズンオフだけど、これまで出会った場所をチェックしてみるといって、ケンクラチャンのトレイルに連れて行ってくれた。
先頭を行く娘からやがて「いたよ〜」と声が上がった。
暗い大木の目線の先にヒグラシ(セミの仲間らしい)くらいの大きさの虫が2匹いてそれがテングビワハゴロモだった。
全部で4匹、2種(世界中に60種くらいいる)のテングビワハゴロモが居残っていた。
自然の奥深さ精妙さを目の当たりにして、バーダーでも身が打ち震える思いだった。