不謹慎の誹りは免れないが、こどもの頃台風が好きだった。
大きな川もなく、奥まった田舎にあった我が家は水没の恐れはなかった。
家の横のため池に温泉の泥が流れ込んで、鯉やドジョウがアップアップ上がってくるのを待ったり、柿や栗の実が地面に落ちたのを拾い集めた。
テレビもなくてよその被害のことは実感はなかった。
鳥見を始めて、台風が通るとそのあとで、見かけぬ鳥がやって来てないかと、内心ワクワクする。
身勝手な期待感が頭の片隅に居残っていたらしい。
台風の規模も被害も甚大になったいまでは、なんとかすべき思考回路の浅薄さなのだが。