イタドリは子供の頃、サトガラと言った。
ウドの大木みたいになって枯れた姿は見る影もないが、春の芽吹きの頃は、アスパラのようにすっくと赤く棒状に伸びる。
茎を根元からポキっと折って、赤い皮をスーッと剥くと、中空の芯は酸味とサクサクの歯ごたえだけの早春の味だった。
ただ食べられるというだけの徒らで食べたのか、腹の足しにしたのかは定かではない。
ベニマシコが食べるイタドリの種には、フラミンゴが藻の色素で桃色になるように、イタドリの茎の皮の赤みを彩る色素の素が含まれているのだろうか。
こどもの頃の自分とベニマシコの間には、赤い糸があったには違いない。